りんごづくりは、年間を通じてほとんどが手作業です。その作業は、どれも「おいしいりんご」づくりには欠かせないものばかりです。
りんごの年間作業スケジュール
各作業の内容
りんごの作業は、一般的には10アール(1,000平方メートル)当たりで約223時間もの時間がかかります。その中には、相当の熟練を要する作業もあります。
整枝・せん定 1月末~3月
整枝・せん定は一年の最初の仕事であり、りんご栽培では最も重要とされる技術です。樹の中まで日光が入るようにし、毎年よいりんごが実るように樹の形を整えます。
せん定は、最も熟練を要する作業で、「千本の樹をせん定しなければ一人前になれない」とも言われています。
肥料施用 4月
人間と同じように、りんごも栄養が必要です。4月に堆肥や肥料などを施用して栄養を与えます。
肥料が過剰や不足にならないように、土壌診断(土の健康診断)をして適切な量を施用します。
薬剤散布 4月~8月
病害虫からりんごを守るために行います。県の基準では年間10回の散布で、りんごが果実になってからは7回程度散布します。
農薬は、安全に正しく使い、周辺環境にも配慮しながら散布しています。
草刈り 5月~9月
りんご園では、土からの水分の蒸発や土壌の浸食を防いだり、有機物を補給するため草を生やしています(草生栽培と言う)。
しかし、草が伸びすぎるとりんごの樹と水分を奪い合ったり、虫などが発生するので、栽培期間内に4~6回程草刈りをします。
草刈機には、肩にかけるコンパクトなタイプやゴーカートのような乗用タイプがあります。
授粉 5月
りんごの品種のほとんどは、同じ品種の花粉がついても実がなりません。そのため、他の品種の花粉を付ける授粉作業が必要です。
昔は、一つ一つの花に、人手によって花粉を付けていましたが、今ではマメコバチというハチの利用が増えています。
摘花作業の紹介
摘果<実すぐり> 6月~7月
りんごは、1つの株(花そう)に5つくらい花が咲き、果実を付けます。これら全部を果実にすると、栄養が足りなくなって小さなりんごしかできず、翌年の花もできなくなってしまいます。
そこで、3~5株に1つだけ果実をならせ、あとは全て取ってしまう摘果(てっか)作業を行います。こうすることで大きくておいしいりんごができます。
なお、花の時期に花を摘むことを「はなつみ」と言います。
摘果作業の紹介(JA相馬村公式ホームページ)
袋かけ 6月中旬~7月上旬
昭和30年代までは、果実を病害虫の被害から守るために袋をかけていましたが、現在では、着色や貯蔵性をよくするために行っています。
袋はぎ 9月
中~晩生種の場合、9月中旬から下旬に袋をはぎ、果実に日光を当てます。
着色手入れ<葉摘み、玉まわし> 9月~11月
りんごの果実全体に太陽の光を当て、色がきれいに付くようにします。
葉つみは、りんごの果実に日影をつくる葉を2~3回に分けて摘み取る作業で、玉まわしは、太陽の光が当った部分だけ赤くなるので、反対側にも色がつくようにりんごの果実を回転させる作業です。下手な人が行うと、果実を回しすぎてりんごを落としてしまいます。
このほかにも、新しく伸びた不要な枝を切る「徒長枝整理(とちょうしせいり)」や、大きくなって重くなったりんごの実により、枝が下がることを防ぐ「支柱入れ・枝吊り(しちゅういれ・えだづり)」という作業もあります。
葉摘み作業の紹介(JA相馬村公式ホームページ)
収穫
1年間大切に育てられたりんごは8月から収穫が始まります。りんごにキズが付かないよう一つ一つ丁寧に収穫します。